レディ・ガイ/LADY GUY 英題:The ASSIGNMENT

  • 2017.11.28 Tuesday
  • 21:27

JUGEMテーマ:試写会

 

レディ・ガイ/LADY GUY 英題:The ASSIGNMENT

 



♯108

あろうことか、目覚めたら女性になっていた。否、女性にされていた。
されたのは、凄腕の若い殺し屋。したのは、気の狂った女医、何故に?
この答を知りたいのは、何も殺し屋だけではない。
観ている側だって、その理由を知りたいわけで……
第一、勝手に女性にされてしまった殺し屋の怒りは計り知れないだろうし。

ストーリーは、広い部屋での女性に対する尋問から始まる。
彼女の応えは禅問答のようで取りつく島もない。
やり取りは、ちょっとわかりづらいが、このシーンこそ最後につながる重要な布石になっているから要注目。
次に登場するのが男の殺し屋で、彼の隠れ家は、「京樽」の看板が目につく辺り。
そこにマフィアの親分が手下を引きつれてのり込んでくる。
となると、トラブル発生、拳銃、突然ぶっ放す。殺し屋だって撃たれてしまう。

映画そのものの主人公は、男前の女優といわれるミシェル・ロドリゲスである。
さて,男性のときの殺し屋の役者は?
気づかなかったが、このときも彼女が演じているという。声も男性と聞き違えてしまう。
だから、女性にされた殺し屋も,頭脳は男のわけだから、やること成すこと相当に迫力があるし、微塵も女性を感じさせないすごい展開だ。
そうそう、肝心なのは、何故に女性にされたのか、したのか、ということ。
された殺し屋は、した女医に対して復讐せずにはおけない。当然,男に戻して欲しいだろうから。
手術した女医にも、殺し屋への復讐心があったのだ。

理屈無用のシンプルなストーリーであるが、脚本がよく練られていて間合いは絶妙で無駄がなく、
最後の最後に「オー!」と思わす創り込みは、さすがハリウッドならではのエンターテインメントだ。

たまには、こういう問答無用の痛快劇を観るのもストレス解消になってちょうどいい。
一冊のコミック誌を読み広げるつもりで劇場へ。

2017.11.24試写/G

2018年1月6日(土)新宿シネマカリテ、ほか全国順次ロードショー 名古屋/ミッドランドスクエア シネマ、ほか

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命/The Zookeeper’s Wife

  • 2017.11.10 Friday
  • 16:56

JUGEMテーマ:試写会

 

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命/The Zookeeper’s Wife

 



♯107


あまりにも辛すぎる。
ナチス・ドイツ軍の蛮行に怒りを覚えない人はいないだろう。
しかし、これが戦争であるということを肝に銘じておかなければならない。
人を殺さない戦争はないわけで、死なないまでも確実に人間は壊れてしまう。

1939年9月、ドイツがポーランドに侵攻。第二次世界大戦が始まる。
ヤンとアントニーナ夫妻が運営する動物園の上空に、鳥の群れを思わすドイツ軍戦闘機が現われ、容赦なく爆弾を落とす。
……
もうこの先のストーリーは書けない。
思い出すに辛さが甦る。

無慈悲な行いで、人間が悲惨な状況に刻々と追い込まれていく実態。
それでも、目を背けてはいけない。
ゲットー(ユダヤ人強制居住区)で行われていたこと、
そこから貨物列車で絶滅収容所へ移送させられる幼子たちの無邪気な振る舞い、
老婆に銃口を向け、容赦なく撃ち殺すドイツ兵、
アントニーナにも迫る命の危機、……、……、

試写を終えてしばらくは動けなかった。
どうにか奮い立ち,外に出るとクリスマス・イルミネーションが目に映った。我に還ることができた。

とにかく、一人でも多くの人に観てもらいたい。
辛いが、知っておかなければならない真実の物語である。

2017.11.7試写/S

2017年12月15日TOHOシネマズ スカラ座、ほか公開 名古屋/伏見ミリオン座、ほか
 

ヒトラーに屈しなかった国王

  • 2017.11.07 Tuesday
  • 18:33

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ヒトラーに屈しなかった国王

 



♯106


映画を観ることは、楽しみとは別に知識の幅を広げるきっかけを得ることも多い。
本作は、ノルウェーのことを学ぶことができると同時に国を率いるリーダーの思慮分別、その程度で
国民の幸せ度が決まってしまうこと、つまり、思慮の浅いリーダーを選び出すことの不幸をひしひしと感じとることになった。

ストーリーは、ナチス・ドイツ軍がノルウェーへの侵攻を始めた1940年4月8日から、翌々日の昼過ぎまでの間
何が起き、国王ホーコン7世は何を語り、どう対応したのか克明に綴る。

9日真夜中0時、ドイツ軍がフィヨルドに迫って来ていることが知らされ
国王は王宮の地下室に非難するよう促される。が、「家に閉じこもるつもりはない」と拒む。
国を案ずるものの、主要な都市はその日に占領されてしまう。
苦境に追い討ちをかけるように,ヒトラーの命を受けたドイツ公使が無抵抗の降服を要求。
国王は、「ノルウェーは主権国家であり協定にサインできない」と突っぱねるも、政府とともに北方へ避難するしかない。
そうした折、デンマーク降服の知らせが入る。
夕刻には、クーデターも起き、ますます追い込まれる国王である。
ドイツ公使は、ヒトラー本人から電話を受けたこともあり、降服協定を結ぶため、どうしても国王への謁見を強く求める。
だが、公使の妻は「相手に銃を突きつけて脅すのは外交とは呼べない」と夫を避難。
史実を基にした作品とはいえ、本当に妻がそう言ったかは定かでないが、真を突いた言葉であることは違いない。
いまこの時、現に銃ならぬ空母や爆撃機を従えた外交が支持されているわけだから考えさせられるひと言である。、

翌10日、朝8時10分、交渉だけは受け入れることにした国王である。
そして、昼過ぎ12時30分、ドイツ公使と二人だけの息づまる場面に。
「この国の行く末は、密談によって決まるのではない。国民の総意で決まるのだ」と国王の口調はさらに強まる。
国王が降服を拒否したとしても政府が受け入れれば協定は結ばれる。
そうなると国王は、その座を失うことになるのだ。

戦争は簡単に始められる。平和の維持は難しい。
だからこそリーダーの哲学、平和への思い、信念、歴史からの学びの有無は、国民の幸不幸に直結する。
この作品は、このことを再確認するきっかけにもなる。
1957年ホーコン7世はこの世を去り,作品の中に出てくる孫のハーラル5世が今日の国を預かる。
祖父の意志は受け継がれ、世界の幸福度ランキングでノルウェーは、1位。
わが国は、51位だ。リーダーは、この差の実情と原因を知っているのだろうか?

2017.10.30試写/S

2017年12月 シネスイッチ銀座、ほか全国順次公開 名古屋/12月 伏見ミリオン座
 

永遠のジャンゴ/Django

  • 2017.10.30 Monday
  • 17:39

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永遠のジャンゴ/Django

 



♯105


いまも彼の演奏が耳に残る。
ジミ・ヘンドリックス、B.B.キング、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックはか、数知れない
ミュージシャンたちに影響を与えたジプシー・ジャズの天才ギタリストの演奏、名曲の数々。

1943年、ナチス・ドイツ占領下のパリ。
彼は、パリで最も華やかなミュージックホールで満員の聴衆を魅了。ドイツ軍の兵士たちも喝采しないわけでもない。
そんな彼は、ドイツ本国での公演を持ちかけられ、少し気持ちが傾く。
ナチスは、彼をプロバガンダに利用しようとしているわけだが、それにもまして、
ナチスは各地でジプシーへの迫害を強めており、ジプシー出身の彼の身が守られるのか保障はない。
だいいち、彼はヒトラーのことさえ知らず、ダサいヒゲ男と言い捨てる有り様。

この作品は、史実に基づくストーリーである。
彼のドイツ公演は避けられたが、同朋が虐殺され、家族や自身にも危機が迫っていることを知るに及んでスイスへの逃亡を図る。
ジプシー弾圧は国境まで至り、キャンプ地に身を隠す彼もとうとう捕まってしまう。
が、釈放の条件として、ナチス官僚が集う別荘での晩餐会で演奏するように令じられるのだ。
以前と違い、実情を知る彼は強く拒むが、「もう、従うしかない」と諭され、他ならぬこともあり受け入れる。
別荘での演奏当日、実は外で大きな謀が、まるでスパイ映画のようなワン・シーンが繰り広がられていた。

これまでナチスを題材にした多くの作品を観た。
それらは、ヒトラーであり、軍に近く関わる視点で描出されたもので
彼の視点からの、ナチスへの恐怖や翻弄される怒り、哀しみは別の感情となって激しく身に迫る。

彼は、1910年、ベルギー生まれ。スウィング・ジャズとジプシー音楽を融合させたジプシー・ジャズの創出者
ジャンゴ・ラインハルト。当時、33歳。
決末に流れる彼の幻の「レクイエム」は、戦争の無益さ、愚かさをしみじみと奏で、本作の制作意図が胸に染み入る。

2017.10.26試写

2017年11月25日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、ほか全国順次公開 名古屋/12月30日(土)伏見ミリオン座
 

クボ 二本の弦の秘密/Kubo and the two strings

  • 2017.10.24 Tuesday
  • 10:55

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クボ 二本の弦の秘密/Kubo and the two strings

 



♯104


いい、すごくいい。
アメリカの映画工房「スタジオライカ」が創った日本題材のアニメーション映画である。
三味線、折り紙、侍、精霊流しなどが違和感なく織り込まれファンタスティックで、アドベンチャー満載、
世界の映画賞83ノミネート、27受賞だけあって、否、そうでなくても理屈抜きに楽しめる。
ストーリーは、多くの人が観ることになるだろうから、ここでは語らない方がよいだろう。

このアニメーションは、ストップモーションという技法で製作されたもので、その最先端に位置づけられという。
登場人物(人形)を美術セットの前に置き、ポーズと表情を少しずつ変え写真に撮る。
1秒間の24コマ分、24回シャッターを切るわけで、総数133,096コマというから手数もさることながら
人形の表情、大きさ、ポーズなど細かに用意しなければならないわけで、途方もない労力と時間をかけて仕上げられた。
今どきCGによるアニメーションが専らで、この選択もあっただろうが、明らかに映像の深みが違うという。
実際に立体物があり、それに照明をあてると光の反射や背景の写り込みなどCGでは出せないリアリティーが生まれるそうで、
確かに観ていて疲れないし、迫力にあふれた映像に引き込まれてしまう。

ちなみに制作スタッフやクリエーターは、日本の風習や古い文化をとことん調査し、監督は日本に住んでいたこともあり日本映画をリスペクト。
クボ少年は眼帯をしているが、伊達政宗と柳生十兵衛三厳がアイデアの素になっており、
父ハンゾウの顔は、黒澤明『七人の侍』の主役、三船敏郎に敬意を表して彼に似せたという。
村人たちも誰かに似ているのかもしれない。

エンディングの曲にも圧倒されてしまった。
ビートルズの『While My Guitar Gently Weeps』のリズミカルな三味線バージョン。
バックは、出てきたシーンの浮世絵アレンジ。
あんこがアタマからシッポまできっちりと詰まった鯛やきのようで、納得、大満喫。
よかった、すごくよかった。

2017.10.18試写

2017年11月18日(土)全国ロードショー 名古屋/ミッドランド スクエアシネマ、他

 

はじまりの街/La Vita Possibile

  • 2017.10.17 Tuesday
  • 20:38

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はじまりの街/La Vita Possibile

 



♯103


日々の暮らし。その継続によって人生は、像を成す。
時に問題が起きても、解決のないままに日々の暮らしは、容赦なく次の頁をめくる。
そうした繰り返しにいつしか馴れてしまい、問題は遠ざかったかのように思え、過去に追いやられてしまう。
問題は、消えてはいない。しかし、人は、それを乗り越えてしまう。時間を要するが。
………この作品を観終えて、問題の乗り越え方を暗示された気がする。

友だちとサッカーの話しをしながら家に帰ったヴァレリオ(13歳)は、父の毋に対するDV行為を見てしまう。
あまりもの衝撃と恐怖に立ちすくんでしまう。
毋アンナは、ヴァレリオを連れ、ローマから親友カルラを頼ってトリノへ逃げる。
彼女は、ひとり住まい。二人を快く招き入れ、はじまる暮らしに期待もする。

三人それぞれの日々は、とりあえずはじまる。DV問題は、置き去りのままだから父は、息子に会いたいと執拗に要求してくるし、
反省の言葉を並べ、元の家族へ、つまり過去を取り戻したいと迫る。
ヴァレリオは、思春期まっ盛り。
馴染めない地で友だちもできず、閉じこもる部屋すらない。
垣間見える大人たちの振る舞いも許せない。反抗はすべて毋に向けられる。

観ていて、やるせない思いが募る。三人の日々は、壊れてしまうのではないか。

唯一の救いは、トリノの街の情景にある。
監督は、35丱侫ルムを用いることで街の空気感を見事に映し出した。
デジタルでは出せない奥深さと微妙な動きをたいせつにしたという。
監督の狙いは、確かにわかる。往年のイタリア映画の趣きを感じるし、トリノの暮らし感が染み伝わってくる。
だからこそ、この街で毋子の暮らしがうまくいって欲しいと思いも膨らむのだが、
ストーリーには変わりなくハラハラさせられてしまう。

いよいよラスト。
幸いにも絶妙なエンディングが用意されていた。
『007ゴールドフィンガー』のテーマ曲を歌う、シャーリー・バッシーの名曲“This is My Life”に託されたメッセージだ。
彼女が響くように歌い上げる 「♪……それが、人生」

何があろうと目の前の日々「それが、人生」。三人に教えられた。

2017.10.11試写

2017年10月28日(土)岩波ホールほか、全国順次ロードショー 名古屋/11月4日(土)名演小劇場
 

ノクターナル・アニマルズ/NOCTURNAL ANIMALS

  • 2017.10.10 Tuesday
  • 18:56

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ノクターナル・アニマルズ/NOCTURNAL ANIMALS

 



♯102


この作品のタイトル「ノクターナル・アニマルズ(夜の獣たち)」は、20年前に別れた夫から送られて来た小説のタイトルでもある。
なぜ、小説を突然送ってよこしたのか?
小説のストーリーは?
そのストーリーは、何を意味するのか?
3つの疑問は、現在と20年前の過去、そして小説が交差する展開でミステリアスな結末を導き出す。

まず、現在。
L.A.に暮らすスーザンは、再婚しアートギャラリーのオーナーとして成功を収めるが何かが充たされない心境だ。
大きな企画を終え、いささか疲れ気味の彼女の元に小包が届く。
別れた夫、小説家志望だったエドワードが著した小説の校正刷りである。
“君との別れが着想になって小説を書いた。感想を聞かせてほしい”と、一枚の手紙が添えられていた。
スーザンは、けげんな思いのままに読み始める。

すると、シーンは一変して小説の世界へ突入する。
映画の中の映画である。
トニー(役者が、エドワードと二役というところが思わせぶり)は、妻と娘三人で夜のハイウェイをリゾート地へと向かうが、前方で2台のクルマが走行の邪魔を始める。
追い越すにも、横並びで越せない。
妨害する2台のクルマにこそまさに「ノクターナル・アニマルズ」が乗っていたのである。
映画、否、小説は、不条理な世界を謎めいて描き出す。
エドワードは、どうしてこんなにも衝撃的なストーリーをスーザンに読ませ、感想を要求するのか。

シーンは、20年前のN.Y.C.でのエピソードに。
スーザンは、エドワードの精神的な弱さが許せず、別れを一方的に言い放ち離れて行く。
彼には、彼女から軽蔑されたという思いしか残らず、彼女のことを「ノクターナル・アニマル」と呼ぶことも。

現在。小説を読み続けるスーザン。
彼女は、圧倒的に素晴らしい作品を書き上げたエドワードとの再会を望みメールを送ると、“君の望みに応える”との回答。
いよいよ小説を読み終え、再会の日、約束のレストランへ早めに着き、彼を待つ。

観終えて、エドワードの行動は、再会を望む思いからか、それとも彼女への復讐だったのか、彼の狙いを察するのに秋の夜長は、ちょうどいい。
モノ想う秋でもある。人生とは、年齢を重ねること、男女の顛末などなど、想いを巡らすのに丁寧に仕上げたこの作品は、ちょうどいい。

2017.10.6試写

2017年11月3日(金)TOHOシネマズ シャンテほか、全国ロードショー 名古屋/伏見ミリオン座、ほか

リングサイド・ストーリー

  • 2017.09.28 Thursday
  • 10:00

JUGEMテーマ:試写会

 

リングサイド・ストーリー

 



♯101


はじまりは、弁当工場を突然クビにされるカナコの動揺から。
稼ぎのない俳優ヒデオ(35歳)と10年も同棲中で、収入がなくなればふたりの生活は大ピンチ。
ヒデオは、オーディションを受けるもことごとく落ち続け、いまやカナコのひも状態。
それでも「いつかは、カンヌ映画祭に連れてってやる」が彼の捨て台詞だ。

そう、ダメ男とそれを一心に支え続ける健気な彼女のちぐはぐを描いたコメディである。
確かに素直に笑えて痛快であるが、ふたりはその時その時を懸命に生きているわけで、だからこそ折々の会話が巧妙でおかしいのである。
こっけいであり、哀愁がまさり、共感でき、噛み合ない歯がゆさなどなど奥深い笑いに、脚本の秀逸さを感じる。

ひも暮らしのヒデオは、カナコにどれだけ嫌味をいわれても奮起して働こうという気はまるでない。
いよいよピンチとなると、カナコの働き口を探すことに。
あったではないか、プロレス団の広報担当。
彼女に成り済まして履歴書を出すと“面接へ”の回答。カナコは、気が進まないが食べるために対応。採用決定。
当初は、嫌々働いていたはずのカナコが、生き生きと仕事に出かけるようになる。
すると、「おかしいぞ、浮気をしているのでは?」と疑い出し、いよいよ嫉妬に狂うヒデオ。
とうとう事件を起こしてしまう。

そうそう、これはあざといコメディではなく、実話から生まれたストーリーだ。
つまり、ふたりは、ふたりの生き方でいつかはカンヌに行く夢を一緒に追い続けているわけで、観ていて妙に応援したくなる。

事件を起こしたヒデオは、その罰としてK-1チャンピオンとの一騎打ちを命じられてしまう。
勝つわけはないが、「よし、俺は俳優だ。挑戦者を演じきってやる」と息巻く有り様。
カナコにも恰好いいところをみせたいという見栄を張る。
そして、ロッキーを思わす猛特訓。しかし、腰は引けているし、チャンピオンは本物(武尊/たける)が登場。

物語は、終わりに近づく。その前に、涙と笑いが合わせ出るシーンがたっぷりと用意されている。
吟味された台詞、ベタつきのない人間関係、テンポよい間合い、どれをとっても納得できる。
邦画も捨てたものではない。

2017.9.15試写

2017年10月14日(土)渋谷シネパレほか、全国ロードショー 名古屋/センチュリーシネマ
 

ザ・サークル

  • 2017.09.26 Tuesday
  • 13:07

JUGEMテーマ:試写会

 

ザ・サークル

 



♯100


“ちょっと先、数年後にはきっとこうなる”とSNS社会がもたらす危うさを予見する物語。
刺激的でわくわくさせられるが、わが身に降り掛かってくると思える人には好ましからざるサスペンスである。

今日、身の周りの至る所で監視カメラが我々を狙っている。
スマートフォンのカメラ機能もあなどれない。
そうしたカメラが超小型の、例えばピンバッヂほどで超高性能ワイヤレス、しかも写し出された映像がネットワークされて
世界中の誰もがどこでも、いつでも見ることができるようになる。さぁ、どうする?

「サークル」社は、この驚愕のカメラを開発した。
世界トップのシェアを誇る巨大SNS企業であり、現実の「グーグル」社をイメージすると展開がわかりやすい。
その「サークル」社のカリスマ経営者イーモン(トム・ハンクス)が、コーヒーカッピを手に社員の前に登壇する。
巧みな語りで、新開発カメラを利用したネットワークサービスを始めるとプレゼンテーション。
コンセプトは、世界の“透明化”。
全人類がこのサービスを利用すれことで、ひとつにつながり美しい景色や感動をシェアできる。
果ては、逃亡中の犯罪者も瞬時に探し出せテロ防止にも役立つばかりか行方不明者も容易に見つけ出せるとアピール。
そして、入社間もないメイ(エマ・ワトソン)がモデルケースとなるようイーモンに大抜擢される。
メイは、カメラを身に付け、暮らす部屋中にも設置することで、自らの24時間すべてを公開するのだ。さぁ、どうなる?

入社前のメイは、地方の水道会社で苦情処理を派遣で担当。悶々とした日々をおくっていた。
そうした彼女をみて、大学時代の親友アニーが自分が勤める「サークル」社への入社を手助け。
ところが、新サービスのリーダーに抜擢されたメイのことを素直に喜べないアニーである。
また、モデルケースの実践中にメイは、幼馴染みマーサーが鹿の角で創ったシャンデリアを自慢しようとネット配信。
善意で行ったつもりが、「鹿を殺すとは何ごとだ」といった非難を浴びせあれ、マーサーは傷つきメイど絶交。
人目を避けて身を隠す。このことが悲しい事件につながるのだが……
新サービスの“透明化”は、人類をハッピーに導くのか。

現実、誰にも止められないSNS社会の進化。
その危うさを暗示するこの作品は、平行四辺形に置き換えることで全体像が浮き彫りになる。
底辺に、メイ、アニー、マーサーの極めてアナログ的な友情関係を描き、上辺は、デジタル先端をゆく「サークル」社での華やかな日々。
ふたつの斜辺のひとつが、SNS社会のが孕む脅威、もう片方が、SNSを利用する者への警告。
斜辺が傾くほど、四辺形はつぶれ、つまり未来はSNS社会を支えきれなくされてしまう。
その結果はどうなるのか、ちょっと先、数年後にきっと答が出るだろう。

さておき、二大ハリウッドスターがいる「サークル」社は、エンターテイメントのパワーあふれる会社でもある。

2017.9.19試写

2017年11月10日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか、全国ロードショー 名古屋/ミッドランドスクエア シネマほか

女神の見えざる手/Miss Sloane

  • 2017.09.13 Wednesday
  • 17:57

JUGEMテーマ:試写会

 

女神の見えざる手/Miss Sloane

 



♯99


これほど凄まじい映画を観たことがあっただろうか。
ひとりの女性が、己の信じる「勝利」のためだけに倫理、正義など容赦なく切り捨て戦略を練り成し遂げる。
映像で奇を衒うことなく、全編セリフの応酬そのもの、最後の最後まで、そうエンディングロールが終わるまで
観客の肝を鷲掴みにしてしまう、凄まじく魅力的な作品である。

ひとりの女性、名はエリザベス・スローン。
政党や議員に、クライアントの要請に添うように働きかけ政策決定に影響を及ぼす辣腕ロビイスト。
実際、ワシントンD.C.にはロビイストの会社が建ち並ぶ、通称「Kストリート」があり、
スローンは、その大手で活躍し政府やメディアからも一目置かれている。
そこに銃擁護団体から、新たな銃規制法案を廃案に追い込んでくれという依頼が入る。
スローンは、銃規制派。
団体の大物であろうがきっぱりと断る。となれば会社にはいられない。
で、廃案を支援する方にもロビー会社があって、そちらへ鞍替えするわけだが、こちらは弱小。
しかし、ここからが彼女の本領発揮となる。
自らの戦略を成功させるために仲間さえも欺く、罠を仕掛ける、奇策を繰り出す。
当然相手も黙ってはいない。スローンを潰せ、スキャンダラスな側面を探せと反撃に総力をあげる。

全体を通して闘いは激しいが、テンポといい、セリフの中身といいセンスよくコーディネートされて、
品の悪いどこかの国の揚げ足取り的な展開ではなく上質さが知性を感じさす。
ただ、あまりにもリアリティーにあふれ、フィクションだとわかっていても現実に行われていることのように思えてならない。
このような状況で政治は裏で動いているのだろうと。
そうなると、法案は議員たちの社会に対する誠意と信念で審議されるべきものなのに、議員たちはロビイストの画策に左右され、
ただ賛成・反対の票を投じるだけの存在でしかないように思えてしまう。

さておき、スローン潰しは醜さの域へ。
彼女は、かつてのロビー活動で不正取引を行ったのではないかと聴聞会にかけられ追及され苦しい立場に。真偽は?
不正が証明されれば刑務所送りになる。さあスローン、対してどのような策を講じる。
観ている側も、彼女の巧妙な手口に踊らされていることに気づく。
騙されてたまるかと、スローンの手口から逃れようと次を読む。ところが、外れる。
ついつい興奮してしまう。
が、最後の最後、清々しい終わり方が用意されており、加えて、エンディングにベートーベンの『月光』を思わす曲が興奮を鎮めてくれる。
………
おとなのためになる作品、納得。

2017.9.11試写

2017年10月20日(金)TOHOシネマズ シャンテほか、全国ロードショー 名古屋/センチュリーシネマ
 

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