スパイの妻

  • 2020.09.24 Thursday
  • 17:28

JUGEMテーマ:試写会

 

スパイの妻

 



♯203


そもそも、夫(優作)はスパイなのだろうか。

1940 年、妻(聡子)の背後に置かれたラジオが、日独伊三国が同盟を締結したと報道。
前年は、第二次世界大戦が勃発し、満州ではノモンハン事件が起きている。

貿易会社を営む優作は、物資が安い満州へ出掛けると妻に言う。聡子にすれば唐突すぎる。

当時、軍部の大陸進出の先鋒となっていた関東軍は、満州において細菌兵器を開発し
人体実験を行っていた。
優作は、偶然に事を知り、その証拠となる資料を手に入れフィルムに記録し持ち帰る。

帰国した優作の周りを憲兵がうろつく。満州から連れ帰った女が殺されたことも不可解だ。
聡子にしても、優作の行動は腑に落ちない。むしろ疑念がわくばかりである。
問いつめるも「わたしは、やましくない。信じられないのか」と一点張りの優作。
「信じろ」と言われても納得できない聡子。

優作は、関東軍の悪行を証拠とともに国際政治の場で発表する事を決意していたのだ。
そうする事が、優作の正義であり、聡子も理解してくれるはずであった。

優作の正義は、スパイ行為なのか。
太平洋戦争への導火線となった関東軍の暴走を止め、戦争への流れを避けられたかもしれないのに。

優作は、証拠とともにアメリカへの亡命を口にする。聡子も同意する。

どうも優作は正義のためにと、妻を陥れられてしまいそうで、気をもむ。
果して、聡子はスパイの妻であったのだろうか、
観終えて、ストーリーを超えた“何か” が胸で騒ぐ。

同じ方を向くことを強いられ、誰も疑問を抱かなかった太平洋戦争間近の時勢が
実態を見極めることなく空気感だけで政府を支持してしまう、つまり、同じ方を向いてしまう状況が今日と重なる。
本作がメッセージしている“何か” は、この“危うさ” か。
「第77 回ヴェネチア国際映画祭」審査員の胸にも“何か” が響いたのであろう。
黒沢清監督に監督賞の授与を決めた。

2020.9.18 試写/ S

2020 年10 月16 日(金)新宿ピカデリー、ほか全国ロードショー
名古屋/ミッドランドスクエアシネマ

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