風の電話

  • 2019.11.26 Tuesday
  • 12:30

JUGEMテーマ:試写会

 

風の電話

 



♯184


「ただいま」と帰れる家があるか。
「お帰り」と応えてくれる人がいるか。
そのいずれをも失ってしまった少女ハルは、どう生きていけばいいのか。

2011 年、ハルは、岩手の大槌町に暮らし、東日本大震災で両親と弟を津波に奪われた。
いまは、広島に住む伯母と二人の暮らしに馴れつつあるが
壊されたこころは置き去りのままで笑顔を忘れ、言葉数も減ってしまった。
8 年を費やしても、あの時の悔しさが消えることはない。なのに、また彼女に悲劇が。
優しく寄り添ってくれていた伯母が倒れてしまったのである。
またもひとりぼっちになった彼女は、どうすればいいのだろう。
訳のわからぬままにさ迷い、家族を思い泣き叫び、耐えきれず倒れ込んだそこは
彼女の胸の内を象徴するような荒れ果てた地。
偶然通りかかった男性に助けられたハルは、我をとり戻し大槌町へ向かうことを決意する。

故郷を目指す道程で、さまざまな境遇の人たちと出合い、“生きること” を励まされるが
それはハルだけではなく、観客へのメッセージでもあることは明らかだ。
同時に、被災し、ましてや身寄りまで奪われた人でなければわからない悔しさや
避けては通れない社会問題までも投げかけてくる。
それは、原爆のおぞましさであり、難民や福島原発における政治のいい加減さなど
世の中の理不尽さや矛盾がじんわりと染み入ってくる。
ドキュメンタリーのような演出と長回しが大いなる効果をもたらしているのだろう。

そして、「風の電話」までたどり着いたハルは、何を話すのか。
状況は止まったかのように静まる。ここは10 分もの長回しだ。
故に、彼女が口にする言葉を想像してしまう。思いにつまって、何も話せないかもしれない。
自分だったら、誰にどういうことを話しかけたいか、ハルの気持と重ね合わせてしまう。

もしもし……

2019.11.22 試写/ S

2020 年1 月24 日(金)全国ロードショー
名古屋/ミッドランドスクエアシネマ、ほか

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