レディ・マエストロ/ The Conductor

  • 2019.08.23 Friday
  • 17:35

JUGEMテーマ:試写会

 

レディ・マエストロ/ The Conductor

 



♯173


「で、君は何になりたいのかい?」
「指揮者です」。24 歳のウィリーは衒うことなく応えた。
先に笑い出したのは女性たちである。あざけるように、周りにいる男たちに媚びるように。
音楽家が集うディナー席でのことだ。

1926 年、ニューヨーク。
ウィリーは、コンサートホールの案内係として働いていた。彼女の夢は、指揮者になること。
ところが、思いが強すぎてトラブルを起こし失職。新たな職を探すが面接で落とされ続ける。
父親は、清掃員として働き暮らしは貧しい。家で待つ母親は、彼女の収入をあてにしている。
夢とはほど遠い環境にありながらも、彼女の思いがくじけたりすることはない。

本作は、事実の物語だ。で、女性指揮者として成功するわけだが、
まるで小説のような展開で道筋が開ける。
否、悔しさ、惨めさ、恋しさ、怒りも越えて前へ前へと突き進み、開いていく彼女だ。

春先に観た、女性で最初の最高裁判事となったルース・ギンズバーグを描いた『ビリーブ 未来への大逆転』
でもそうだったが、女性が夢を叶える困難さを実感として知ることになる。
困難な状況は昔のことではない。
女性が医師を目指すも、大学入試で差別する大学が少なくなく、議員になれば、わざわざアタマに
女性の冠がつく。女性弁護士しかり、女性パイロット、……、
だいいち、本作の邦題がそうだ。原題は、『指揮者』であるのに、なぜか女性(レディー)の
冠がついている。ストーリーとの矛盾を感じなかったのだろうか。
だとすれば、日本人の女性に対する見方は1926 年当時と何ひとつ変わっていないといえそうだ。

さておき、ウィリーは養子であったことを知り、本名のアントニア・ブリコを名乗り
その後の人生を歩むが道の険しさは変わりない。

そのアントニアの言動には、納得がいくし、共感の限りである。
ひと言ひと言が理にかなった説得力のある言葉と指揮で、
女性は指揮者になれないと断言する男性指揮者に「目を閉じて聴けば
男性・女性の区別はつかないな」と言わせてしまう。
まさしく、この度アントニアから最近にない感動をプレゼントされた思いだ。

2019.8.22 試写/ C

2019 年9 月20 日(金)Bunkamura ル・シネマ、ほか全国順次ロードショー
名古屋/ 9 月21 日(土)名演小劇場

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