プライベート・ウォー/ A PRIVATE WAR

  • 2019.07.28 Sunday
  • 11:26

JUGEMテーマ:試写会

 

プライベート・ウォー/ A PRIVATE WAR

 



♯171


左目に黒い眼帯、右目で何かを鋭く睨みつけている女性。
本作のパンフレット表紙の描写だ。

彼女は、英国サンデー・タイムズ社の特派員記者である。
レバノン内戦、湾岸戦争、チェチェンや東ティモール紛争などの殺し合いの現場から
そこで起きている“真実” を伝え続けた。

2001 年、スリランカ内戦の最も危険なただ中で取材を敢行。
最中に国軍が放ったロケット弾が、彼女の左目の光を奪う。
さらに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が容赦なく苦しめる。
周囲が案ずるが、それでも現場へ復帰。左目に黒い眼帯、ストレスは飲酒の量を増やす。
危険な所へは行かないという選択肢は、彼女にはなかった。

現実、戦火を交える現場は過酷だとわかっているのに、なぜ、わざわざ戦争取材を行うのか?
自分の都合で行ったのだから、被害に合おうが自己責任だ、と非難する向きも少なくない。
それは権力者の横暴を見逃していることと、本作は暗示する。

2003 年、黒い眼帯の彼女は、フセイン政権によって殺害されたクエート人の遺体発見の現場から
2009 年、タリバン攻撃の無謀をアフガニスタンから
2011 年、リビア反政府デモ“アラブの春” の実状を報じ続ける。
被害者の多くは市民であり、「私たちが眠っている間に子どもたちは死んでいく」という生々しい“真実” を
世界に向けて発信しつつも、深い絶望感にさいなまれる彼女。

苦悩、葛藤、恐怖が巡るジャーナリストの日々。
巨大な不条理を生みだし続けている戦争、生みだしかねない無能な政治家の強欲ぶり、
その現実に目を向けようとせず、醜い現実をイメージさえもできない一人ひとりが何と多いこと。
監督は、ドキュメンタリー映画を手がけてきた巨匠だけに、ドラマ仕立てにはなっているが
市民が苦しむ表情、遺体が転がる場面はリアルなだけに観ていて訳もなく涙があふれる。

2012 年、彼女は苛酷な状況で包囲されている28,000 人の市民の“真実” を報道するため
シリア・ホムス地区に乗り込んだ。
衛星電話でライブ・レポート。チャンネル4、BBC、CNN などが同時ライブ。
終えて1 時間後、政府軍の砲弾が彼女たちを襲う。暗殺されたのだ。
彼女の名は、メリー・コルヴィン、享年56 歳。睨んだ右目には、何が見えていたのだろう。

2019.7.25 試写/ S

2019 年9 月13 日(金)TOHO シネマズシャンテ、ほか全国公開
名古屋/伏見ミリオン座
 

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