あなたの名前を呼べたなら/ Sir

  • 2019.07.16 Tuesday
  • 09:08

JUGEMテーマ:試写会

 

あなたの名前を呼べたなら/ Sir

 



♯169


その人の名前を呼べないのは、身分が異なるから。
それでも、その人を名前で呼べたらと願うわけは……

舞台は、インド有数の都市ムンバイに建つタワーマンション。
住人は、挙式直前に破談になってしまった、その人の名前はアシュヴィンだ。
彼は、建設会社を有する家庭に育ち、階級意識が非常に強い層に属する。
ゆえに、メイドのラトナとは対等なはずがない。
ましてやラトナは、田舎の農村の出で、19 歳で嫁がされたものの夫を病気で亡くしてしまい
とにかく街に出て稼ぐしかない。
稼いで夫の実家に仕送りし、妹の学費まで負担しなければならない身の上である。

ラトナは、雇い主に対して「旦那様(Sir)」と呼びかけ、「わかりました旦那様」と応えるだけだ。

例え夫が亡くなっても、嫁いだらそこの人となって生涯を終えるのが当然とされ
加えて、化粧はダメで、アクセサリーで飾るなんてもっての外というラトナの故郷の慣習。
現代のインドにあって、何とも遅れた価値観に驚きすら覚える。階級意識もそうだが。
否々、わが住む国でも同様の状況はつい最近まであったし、
夫を疑問を抱くことなく主従における「主人」と呼び、
「お宅のご主人は?」と問いかける女性は、今日でも当り前のように多い。
また、女性は外に出ず家庭を守るべきと決めつける男も、若い人にも多くいる。
で、こうした状況を描いた邦画が製作され、よその国で上映されたら、何て遅れた国だと思われることだろう。

さて物語は、雇い主と使用人の関係性を浮き彫りにしながらも、そこに微妙な波長の乱れを添える。
地味に働きながらもファッションデザイナーへの夢を叶えたいと志すラトナを前に
親の敷いたレールにそって無自覚に生きてきた自身の有り様に情けなさを感じてしまう旦那様。
ラトナは、自分の立場を見失うことのない意志の強い女性だ。
関係性は、平行線のまま交わることはない。

ちなみに本作は、アメリカで大学教育を受けヨーロッパでも活躍しているムンバイ出身の女性監督だけに
インド社会の差別への視点がラトナにオーバーラップされているように思える。

2019.7.10 試写/ C

2019 年8 月2 日(金)Bunkamura ル・シネマ、ほか全国順次公開
名古屋/ 8 月3 日(土)名演小劇場

コメント
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM