北の果ての小さな村で

  • 2019.06.20 Thursday
  • 18:27

JUGEMテーマ:試写会

 

北の果ての小さな村で

 



♯166


どうして人は、こうも過酷な環境下に暮らすのか?
自然の厳しさに加え、不便なうえに教育、経済的にも恵まれない地で。
そこに暮らす人たちにしてみれば、いかに過酷と思われようとそれが“日常” なのである。
本作は、グリーンランド東部にある80 人だけが暮らす小さな村の“日常” をすくいあげた作品である。

農業を継いで欲しいと願う父の思いを断ち切ってデンマークから
この村に教師として赴任したアンダース、28 歳。
子どもたちにデンマーク語を教えることが務めである。
このことは、村人にとって余計なお世話の何ものでもない。

1953 年までデンマークの植民地であったグリーンランドは、後に画一的な近代化が進められた。
極寒の地に生まれ一生を終える村人たちの“日常” は、自然と対峙することなく、むしろ抱かれ
生きていくうえで足りる分だけの狩猟をすることである。
言葉がデンマーク語と異なるからといって不都合はない。

デンマークから来た教師アンダースの行為は何事も上滑り。
懸命になるほど空回りし、孤立してしまう。
となれば、アンダースはストレス全開。もめ事を起こすなど、悪循環というやつだ。

老婆が諭すように言う。「人生に必要なものは、すべて祖父が教えてくれるわ」
必要なもの、それは狩りの技である。子どもたちの夢は、先達のような猟師になることだ。

本作には、ドラマチックな展開はない。
登場人物は、すべて当人たちで誇張も矮小もない。“日常” の意味を素朴に問いかけてくる。
近代化の価値観にさりげなく疑問を投げかけてくる。

フィヨルド、オーロラ、雪原…スクリーンに映し出される村の景色は絵はがき以上だ。
見たことのないような景色を背景に、生きることの厳しさをしなやかに描き出す。

アンダースに同世代の村人が言う。
「君たちは生きるということを複雑に考えていないか。シンプルでいいんだよ」

“自分探し” のつもりでデンマークからやって来たアンダースだが、現に彼は帰らず
北の果ての小さな村での“日常” を自分のものにしているという。

2019.6.18 試写/ S

2019 年7 月ロードショー シネスイッチ銀座、ほか全国順次公開
名古屋/ 8 月3 日(土)伏見ミリオン座

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