判決、ふたつの希望/THE INSULT

  • 2018.07.06 Friday
  • 17:24

JUGEMテーマ:試写会

 

判決、ふたつの希望/THE INSULT

 



♯132


レバノンの映画、正直、ちょっと難解である。
ストーリーはよくわかるし、社会的メッセージ性の高さも理解できる。

ふたりの男の“ささいな”諍いが原因で、国全体を揺るがす争乱へと拡大してしまう物語。
観て難解なのは、“ささいな”はずが、そうでない状況がこの国には潜在しているし、
その発端に民族、宗教、政治、歴史が複雑に絡みあっていて、
それらの一つひとつの違いが、国民一人ひとりを人格づけ行動につながっている、
そのことへの知識が浅いからだ。

レバノンの首都ベイルートの住宅街、ふたりの男の間でで起きたこと。
どちらかが先に謝れば、それで済むはずだった。

住宅の補修作業を行っていた現場監督でパレスチナ難民のヤーセル。
作業の折り、バルコニーからの水漏れで服を濡らしてしまう。原因は、トニーの水やり。
ヤーセルは、トニーの顔を見上げて文句を言う。それは、ふたりの間では言ってはならぬ“一言”であった。
キリスト教系政党の熱心な支持者でかねてからパレスチナ人に反感を抱いているトニーは、
自らの尊厳を傷つけられたと許せない。が、ヤーセルが謝りさえすれば許す思いでもあったが。
ふたりの男に潜在する「対立」は、簡単にはほぐれない。
トニーも、ヤーセルの琴線に触れる“一言”を口にしてしまう。それは、暴力沙汰への導火線に。

本作の英題/INSULTは、侮辱という意味。
侮辱されたふたりの怒りは、収まることなく法廷の場へと裁定を求める。
トニーは、切れ者弁護士に控訴審の代理人を依頼。
対して、この件はパレスチナ人へのヘイト・クライムだと考える女性弁護士がヤーセルの弁護を申し出る。

控訴審は、真っ向対立。弁護人は、論陣を張る。
傍聴人たちは、自分が肩入れする側の立場で騒ぎ出し法廷の外でも衝突。
メディアがその状況を大々的に報じる。
ふたりの男のことはそっちのけで、裁判の「対立」は、街での暴動、さらに大きな政治問題へと炎上。

「対立」の構図は根深く、わが住む国からでは解りにくい。
国民一人ひとりに内在している複雑な「対立」は、いつどこででも表面化しうる。
問題は、いかにして収束するかであるが、本作は、難しさを解きほぐし冷静に諭してくれる。

2018.7.3試写/S

2018年8月31日(金)TOHOシネマズシャンテ、ほか全国順次公開 名古屋/伏見ミリオン座

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