万引き家族

  • 2018.05.15 Tuesday
  • 11:27

JUGEMテーマ:試写会

 

万引き家族

 



♯126


何ともほほえましい家族(ホーム)ドラマである。
そろって打ち上げ花火の音を聞きながら語らうシーンや渚で波と戯れるシーンは、
“家族”の理想像を描き出すうえで効果的だ。
とはいうものの、反社会的な万引き行為で暮らしを保っているわけで、望ましい“家族”ではない。
とはいうものの、この“家族”ではあたたかいコミュニケーションが図られていて、
むしろ、今日の“家族”に足りない、あるいは失われてしまった何かを浮彫りにしていて、
観終えてじんわりと考えさせるモノがある。で、“家族”とは、と考えてみた。

国語辞典は、“同じ家に住み生活を共にする血縁の人人”とある。
ところが、本作のそれは、どうもうさん臭い、家族もどきではないのか。
祖母の年金を目当てに、いまにも壊れそうな平屋に転がり込んだ夫婦とその息子、
加えて妻の妹の4人。夫婦と息子の血縁はなさそうだし、
父に「学校は家で勉強ができない子が行く所だ」と教わり通っていない。
そればかりか、万引きの手ほどきを受け親子で行為を繰り返す。
毋は、万引きすべく品を要求する始末。でも、「それは今度ね」「頼むわ」と和気あいあい。

冬の夜、冷え込む帰り道、父はアパートのベランダに閉め出された幼い女の子を見つけ哀れを感じて
家に連れて行き、妻が介抱する。児童虐待の気配の傷が痛ましい。
幼女は、家には帰りたがらず、この“家族”の一員となり、生活に馴染み笑顔を取り返す。

辞典の“同じ家に住み生活を共にする”という点では、幼女は、立派な“家族”だ。
後でわかることだが、息子も赤ちゃん置き去りの被害者で夫婦との血縁はない、が立派な“家族”である。

女の子がベランダからいなくなったとて、両親は、警察に捜索願をすぐには出さずにいて、
ひょんなきっかけで見つかるや「心配して探していたのよ」と報道陣の前でいい親を演ずる白々しさ。

さて、頼りにしていた祖母の年金だが、その祖母が突然亡くなる。
年金の受給ができなくなるが、そこで、この件は“家族”だけの秘密として全員一致。
現実、これと同様の出来事が報道され、唖然とさせられるわけだが
本作は、万引き行為をネタとして、この“家族”にも劣る今日の“家族”の姿を
シニカルに描くカタチで奥深いメッセージを投げかける。
今日の“家族”が滑稽に思えて面白い、実に面白い。
観る者にそつなく問いかける構図の巧みさは、さすが、是枝裕和監督の仕業だ。

2018.5.9試写/G

2018年6月8日(金)全国公開 名古屋/TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、他
 

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