ファントム・スレッド/PHANTOM THREAD

  • 2018.04.15 Sunday
  • 10:00

JUGEMテーマ:試写会

 

ファントム・スレッド/PHANTOM THREAD

 



♯124


ファントムは、幻の-、見えない-、という意味。スレッドは、糸。
この物語は、1950年代のロンドン、オートクチュールでの出来事を“見えない糸”と形容した。

決して出合うはずのないオートクチュールの仕立て屋ウッドコックと、
いなかのレストランで気ままに働くウェイトレスのアルマ。

ウッドコックは、王族や貴族の夫人を上客に英国ファッション界で脚光を浴びる。
職人気質で気難しく、他人の考えなど受け入れることのない独裁者のようでもある。
そんな彼を理解し支え続けているのは、姉のシリルだけ。

疲れて仕事に集中できなくなったウッドコックに、シリルは、別荘で休暇を取るようにアドバイス。
素直に車で出かける弟の顔は、どこか穏やかである。
で、立ち寄ったレストランで彼は、気遣いもなく揺る舞う背が高く質素なアルマに目が止まる。

本作は、前半と後半の主人公が入れ替わるような展開である。
前半は、ウッドコックのわがままさに少々うんざり感さえ覚えて物語に入り込めない。
ある時など病気になってしまうと独裁者は気弱な羊に豹変してしまうし、観ていていら立ちが先に立つ。
それが後半、彼の思うようにならない感情豊かなアルマの登場で、お洒落な空気に変わり、
あのイライラ感はどこへやら。
だが、“見えない糸”で繋がれたはずの運命の糸が絡み出す。
ウッドコックとの日々に慣れ、我を張るようになったアルマの行動は、どこかサスペンスの気配に。
彼女は、彼を意のままに扱う手立てを見つけてしまうのである。
その手は、独裁者を羊に変えてしまうこと。そこで、サスペンスの度合いが一気に高まる。

イライラからハラハラ、ドキドキへの展開が見事で、いつの間にか制作者の糸に操られてしまう。
ただ前半から後半への流れで、作品の性格が変わったりはしない。
それは、二人のどちらにも組みしない姉シリルの存在があってこそだが
彼女の押さえ気味の自分表現が、作品の落ち着きを保ちセンスの良さを醸し出す。
制作者も観る側も、大人ならではの作品といえる。

ところで、タイトルを「ファントム・スレッド」よりも「サスペンス・アルマ」としたら
映画館に足を運ぶ動機を高めるのではないだろうか。
ウッドコックは、受け入れてくれないだろうけど。

2018.4.5試写/S

2018年5月26日(土)シネスイッチ銀座、他全国ロードショー 名古屋/伏見ミリオン座
 

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