デトロイト/DETROIT

  • 2017.12.19 Tuesday
  • 09:12

JUGEMテーマ:試写会

 

デトロイト/DETROIT

 



♯111


いまから半世紀前、アメリカ中西部の大都市デトロイトで何が起きていたのか。
本作が、本年度アカデミー賞有力作品として注目されているのはなぜか。
作品の出来栄えもさることながら、いまだ治らぬばかりか、むしろ悪化しているアメリカの長患いに対する問題提起こそが
賞に値するという見方があるのではないかと思えてしまう。
そして、本作を観ることはデトロイトで起きた何事かを知ることになり、その目撃者になることを強いられることになる。
よって、劇場に足を運ぶ前にアメリカの病の原因と実情を知っておかなければ、
本作は、ただの緊張感と迫力にあふれたサスペンス映画ということになりかねない。

1960年代、アメリカでは夏になると人種的な暴動が立て続けに起きていた。
ジョンソン大統領の時代、ベトナム戦争は泥沼化し高熱状態の病が続く。
都市騒擾(じょう)に関する大統領諮問委員会は、病を
“アメリカは、二つの社会に向かっている。一方は黒く、もう一方は白い。それは分離されていて不平等である”と診立てる。
その病は、デトロイトにも感染したのである。

1967年7月、
黒人ベトナム兵の無事帰還を祝うパーティーが開かれていた。
そこが無許可営業の酒場であったために市警の警官が押し入り横暴な取り調べを始ある。
その結果は、暴動の勃発につながり、死者43名、逮捕者7000名を超える「デトロイト暴動」として歴史に刻まれる。

暴動2日目の夜、黒人たちで賑わうモーテルで本作の主題となる事件が起きた。
モーテルの一室から、市内を警備する警官隊に向けた狙撃がなされた、というのである。
警官たちは怯えつつも、犯人確保のためにモーテルへ一気に立ち入る。
逃走を図った若者に警官は容赦なく発砲。対して、正当防衛を偽装する警官の馴れた手つきの振る舞い。
部屋にいた黒人たちに対する暴力的な尋問が始まる。
警官同士の口裏合わせ、銃で脅して自白を強要する“死のゲーム”も巧妙で、黒人の立場は窮するばかりである。

40分にわたって行われた尋問。その一部始終を目撃させられるのだが、観ていて目を背けたくなる。
実際に起きたこと故、場面の折々に当時の報道写真が織り込まれ、まさに当事件の再現と見間違うリアリティーさ。

「デトロイト暴動」の翌年4月、キング牧師が、6月、リベラル派の星といわれたローバート・ケネディー上院議員が暗殺された。
今日も黒人に対する白人警官の差別的扱い、人権無視の事件は後を絶たない。
観るからには、アメリカ人種差別の背景と現実。
本作がいま注目される明確なメッセージをきちんと受けとめなければならないだろう。
本質は、身近なこととして我が足元にも横たわっているのだから。

2017.12.12試写/C

2018年1月26日(金)TOHOシネマズ シャンテ、ほか全国公開 名古屋/TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、ほか

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