永遠に僕のもの/ EL ANGEL

  • 2019.07.24 Wednesday
  • 18:35

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永遠に僕のもの/ EL ANGEL

 



♯170


アルゼンチンの映画である。
こんなにも残酷な犯罪者を描きながらも、娯楽性が先立つのはなぜだろう。
原題からしてエンジェルという次第だから、犯罪者を糾弾しようとする社会派を気取るつもりはないようだ。

1971 年、ブエノスアイレスで起きた実話の物語だ。

平然と空き巣を重ねる17 歳の高校生、カルリートス。
両親は、息子の悪事に気づいていたが環境を変えることでやり直せると思い転校させた。
しかし、このことが裏目に出てしまったのだ。
新しい学校で出合った同級生の父親は、裏社会に生きる前科者。
カルリートスに銃の撃ち方を教え、挙げ句に同級生を含めた三人で銃砲店に忍び込み盗みを働く。
このことがきっかけでカルリートスは銃を持ち歩くようになる。持てば撃ちたくなる。
さらに強盗を重ね、人に向かって撃つ喜びさえ覚えてしまい、とうとう殺人さえ犯してしまう。
顔色を変えることなく、後悔の様子も見せず「もっと自由に生きるんだ」とうそぶく始末。
家に帰ると両親思いの息子を装い、親も見て見ぬ振りなのか、疑いを口には出さない。
犯罪はエスカレートする。

本作は、音楽が多用されていて、それぞれの歌詞がカルリートスの心境と見事にオーバーラップする。
どの曲もノスタルジックで、ついつい聞き入ってしまい、
犯罪の重さや犯罪者への怒りなどうすれてしまうように感じる。
そうか!これがラテン系の“ノリ” か、と決めつけてしまうのは短絡的とわかっていても
犯罪者をエンジェルのように思わせてしまう“ノリ” は、間違いなくある。

最後の最後、古びたラジオから流れ出す曲に合わせて軽い身のこなしで踊る若い犯罪者。
そして、たった一人の身柄を確保するためにとられた行動を見れば、
どうにも大袈裟で、誰もが“ノリ” の存在を確信できるはず。

初めて観たアルゼンチンの作品。本国ではNo.1 のヒットだというが、
文化とは、なかなか理解し難いものと知る。

2019.7.23 試写/ G

2019 年8 月16 日(金)渋谷シネクイント、ほか全国公開
名古屋/伏見ミリオン座

 

あなたの名前を呼べたなら/ Sir

  • 2019.07.16 Tuesday
  • 09:08

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あなたの名前を呼べたなら/ Sir

 



♯169


その人の名前を呼べないのは、身分が異なるから。
それでも、その人を名前で呼べたらと願うわけは……

舞台は、インド有数の都市ムンバイに建つタワーマンション。
住人は、挙式直前に破談になってしまった、その人の名前はアシュヴィンだ。
彼は、建設会社を有する家庭に育ち、階級意識が非常に強い層に属する。
ゆえに、メイドのラトナとは対等なはずがない。
ましてやラトナは、田舎の農村の出で、19 歳で嫁がされたものの夫を病気で亡くしてしまい
とにかく街に出て稼ぐしかない。
稼いで夫の実家に仕送りし、妹の学費まで負担しなければならない身の上である。

ラトナは、雇い主に対して「旦那様(Sir)」と呼びかけ、「わかりました旦那様」と応えるだけだ。

例え夫が亡くなっても、嫁いだらそこの人となって生涯を終えるのが当然とされ
加えて、化粧はダメで、アクセサリーで飾るなんてもっての外というラトナの故郷の慣習。
現代のインドにあって、何とも遅れた価値観に驚きすら覚える。階級意識もそうだが。
否々、わが住む国でも同様の状況はつい最近まであったし、
夫を疑問を抱くことなく主従における「主人」と呼び、
「お宅のご主人は?」と問いかける女性は、今日でも当り前のように多い。
また、女性は外に出ず家庭を守るべきと決めつける男も、若い人にも多くいる。
で、こうした状況を描いた邦画が製作され、よその国で上映されたら、何て遅れた国だと思われることだろう。

さて物語は、雇い主と使用人の関係性を浮き彫りにしながらも、そこに微妙な波長の乱れを添える。
地味に働きながらもファッションデザイナーへの夢を叶えたいと志すラトナを前に
親の敷いたレールにそって無自覚に生きてきた自身の有り様に情けなさを感じてしまう旦那様。
ラトナは、自分の立場を見失うことのない意志の強い女性だ。
関係性は、平行線のまま交わることはない。

ちなみに本作は、アメリカで大学教育を受けヨーロッパでも活躍しているムンバイ出身の女性監督だけに
インド社会の差別への視点がラトナにオーバーラップされているように思える。

2019.7.10 試写/ C

2019 年8 月2 日(金)Bunkamura ル・シネマ、ほか全国順次公開
名古屋/ 8 月3 日(土)名演小劇場

田園の守り人たち/ Les Gardiennes

  • 2019.06.26 Wednesday
  • 09:22

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田園の守り人たち/ Les Gardiennes

 



♯168


ミレーの絵を連想させる表紙で、読み始めたら夢中になってしまう文学書のような本作。
上映時間135 分の長さを感じさせない小気味よい展開に合点がいく。

第一次大戦下のフランス。
三人の子どもを女手ひとつで育ててきたオルタンスは、農園も守り通してきた。
いま、彼女は長男を戦場へ送り出そうとしている。
家を出て行く息子の姿が霧の中に消え去るまで、複雑な思いで見届ける。
このシーンは、戦闘を描かない戦争映画であることを暗示する。
息子や夫の安否を気にかけながらも、農園を守るしかない女性たちの日々も戦いだ。

オルタンスもそのひとり、二人の息子と、娘の夫が戦場へ。
娘とだけでの農作業は、人手が足りない。若い働き手のフランシーヌを雇い入れる。
孤児院育ちの彼女は、素朴で誠実。愚痴ひとつこぼさず、何でもこなす。
女三人の暮らしは打ち解けあい、農作業も順調に。
そこへ一時休暇で前線から次男が帰って来た。フランシーヌとの年かっこうが合うからややこしい。
村にはアメリカ兵が駐留していて、時には農園に顔を出す。
娘が彼らと親しくなってしまい、村の噂になるやら、ややこしい状況が重なる。

本作は、状況一つひとつのてん末を追い求めるようなことをせず
ページをめくるように次から次へと進展する。そのため人間関係のややこしさを感情的にとがめることがなく
もうひとつの戦争映画という主旨がボケない。

兵士を送り出したり、迎える駅のシーンが時をおいて度々織り込まれるが、
このシーンの変化を見逃してはならない。
その時々の前線の戦禍をそれとなく映し出しているのだ。

銃後の女性たちにも変化が。オルタンスは家族を守るためにフランシーヌを追い出してしまう。

濡れ衣を着せられたフランシーヌの場合は、あまりに〜も悲しい〜。
お腹には新しいいのちを宿し、二つのバッグをかかえて惑うフランシーヌ。

大戦は終わった、オルタンスの長男は戦死。長女の夫と次男は帰還。で、戦死した長男の土地を
巡って家族の争いが始まる。本作が残すページは後わずか。フランシーヌが気がかりだ。

2019.6.20 試写/ C

2019 年7 月6 日(土)岩波ホール、ほか全国順次公開
名古屋/ 7 月20 日(土)名演小劇場

風をつかまえた少年/ The boy who harnessed the wind

  • 2019.06.23 Sunday
  • 16:59

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風をつかまえた少年/ The boy who harnessed the wind

 



♯167


「食べるものがなくなったら、わたしの片腕を食べさせるわ」
大干ばつで食べるものに困り、口減らしのために家を出ようとする娘に毋はそう言う。

飢きんによる貧困で、死ぬか生きるかの毎日。
アフリカ南東部内陸に位置するマラウイ共和国でのつい最近、
21 世紀に入っての実状を教えてくれる真実の物語である。

娘を説得する毋は、返す刀で夫に向かって「結婚をするとき希望があったわ。
でも、それをなくし、土地も食べるものも。後、何をなくしたらいいの?」
「俺を責めないでくれ」と夫。
「責めているんじゃないの。教えて欲しいの」と妻の眼から涙がこぼれる。
夫の眼にも光るものが。どれだけ渇いても、生きようとする者には乾かないものがあった。

懸命に家族を養おうとする両親を見て14 歳の息子ウィリアムは、“水さえあれば” と、
悔しい思いを噛み殺す。そういう彼とて、貧困のあおりで退学させられてしまう。
“水さえあれば” 家族を、村を救えるはずだ。
科学が好きで、こっそりと授業に忍び込むが追い出されてしまう。勉強したい思いは募るばかり。

息子の思いを知る毋は、校長に図書館だけでも使わせてくれるように頼み込む。
そう、ウィリアム少年は、そこで『エネルギーの利用』という一冊と出合い、
風車を使って充電した電池でポンプを動かす仕組みを学ぶ。
直ちに廃材を活かし風力発電の実現へ。
友達も協力するが、どうしても父が大切にしている自転車は部品として欠かせない。
「わけのわからんガラクタのために、俺の自転車を使うとは」と怒る夫を説得するのは、妻。

本作は、実に知に富んだ無駄のない言葉で、観ている者の関心を外らさず、学ぶことの素晴らしさ、
理解できない者の愚かさ、感情に左右される者の多さといった側面を浮き彫りにしてしまう。

大統領選挙の遊説で村を訪れても、村の窮地を見ようとしない現大統領を見て、父は息子に言う。
「この国のデモクラシーは、輸入した野菜と同じだ」と。
けげんな顔の息子に、「すぐに腐る」と言葉を継ぐ。脚本の巧みさに納得!

本作は、収益金の一部を学ぶことの困難な日本の子どもたちのためや、「あしなが奨学金」
にも寄付されるという。予算の使い方を知らない政治家にこそ観て欲しい作品といえよう。

2019.6.20 試写/ S

2019 年8 月2 日(金)新宿武蔵野館、ほか全国順次公開
名古屋/伏見ミリオン座

北の果ての小さな村で

  • 2019.06.20 Thursday
  • 18:27

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北の果ての小さな村で

 



♯166


どうして人は、こうも過酷な環境下に暮らすのか?
自然の厳しさに加え、不便なうえに教育、経済的にも恵まれない地で。
そこに暮らす人たちにしてみれば、いかに過酷と思われようとそれが“日常” なのである。
本作は、グリーンランド東部にある80 人だけが暮らす小さな村の“日常” をすくいあげた作品である。

農業を継いで欲しいと願う父の思いを断ち切ってデンマークから
この村に教師として赴任したアンダース、28 歳。
子どもたちにデンマーク語を教えることが務めである。
このことは、村人にとって余計なお世話の何ものでもない。

1953 年までデンマークの植民地であったグリーンランドは、後に画一的な近代化が進められた。
極寒の地に生まれ一生を終える村人たちの“日常” は、自然と対峙することなく、むしろ抱かれ
生きていくうえで足りる分だけの狩猟をすることである。
言葉がデンマーク語と異なるからといって不都合はない。

デンマークから来た教師アンダースの行為は何事も上滑り。
懸命になるほど空回りし、孤立してしまう。
となれば、アンダースはストレス全開。もめ事を起こすなど、悪循環というやつだ。

老婆が諭すように言う。「人生に必要なものは、すべて祖父が教えてくれるわ」
必要なもの、それは狩りの技である。子どもたちの夢は、先達のような猟師になることだ。

本作には、ドラマチックな展開はない。
登場人物は、すべて当人たちで誇張も矮小もない。“日常” の意味を素朴に問いかけてくる。
近代化の価値観にさりげなく疑問を投げかけてくる。

フィヨルド、オーロラ、雪原…スクリーンに映し出される村の景色は絵はがき以上だ。
見たことのないような景色を背景に、生きることの厳しさをしなやかに描き出す。

アンダースに同世代の村人が言う。
「君たちは生きるということを複雑に考えていないか。シンプルでいいんだよ」

“自分探し” のつもりでデンマークからやって来たアンダースだが、現に彼は帰らず
北の果ての小さな村での“日常” を自分のものにしているという。

2019.6.18 試写/ S

2019 年7 月ロードショー シネスイッチ銀座、ほか全国順次公開
名古屋/ 8 月3 日(土)伏見ミリオン座

さらば愛しきアウトロー/ the Old Man & the Gun

  • 2019.06.05 Wednesday
  • 20:22

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さらば愛しきアウトロー/ the Old Man & the Gun

 



♯165


この邦題は、本作の内容とは異なる。では、なぜこう付けたのか?
主演のロバート・レッドフォードは、本作をもって俳優を引退するという。
彼にとって最初のヒット作といえば『明日に向かって撃て』だが、当時33 歳。
役は、西部開拓時代に実在した銀行強盗であった。
その後も数々のアウトロー役を演じ、最後となる本作でも銀行強盗になって登場する。
で、レッドフォードへの敬愛の念と惜別の思いを邦題は表わす。

本作での銀行強盗は、少年時代から収監されては、16 回もの脱獄を繰り返してきた筋金入りのアウトローだ。
時は、1980 年代初頭。奴は、74 歳。この2 年間に93 件の強盗を成功させている。
それも、誰一人も傷つけず素早くスマートに。
銀行に出向き銃を突きつけ「金を出せ!」などと下品な脅しは口にしない。
センスのいいスーツを着こなし、「融資の相談を…」などと言いながら銃をチラッと見せるだけ。
当然、警察に追われるが、被害者は「彼は、紳士だった」「礼儀正しかった」と証言。
担当刑事は、追いつつもいつしか奴の生き方に自分が重なり、共感すら覚えてしまう。

映像のしっとり感、柔らかさと相まって“人間味” の描き方がどこか懐かしい。
製作者側も奴が活躍した? 80 年代当時の映画づくりを意図して
撮影では、デジタル機器を用いずスーパー16 のフィルムや古いレンズをわざわざ選択。
空気感までも創造したその効果は、本作の魅力を醸している。

加えて、30 歳代の奴が脱獄する回想シーンでは
1966 年の作品『逃亡地帯』で若いレッドフォードが演じたシーンをそのまま編集した。
まだある。
本作の冒頭の字幕に「…ほぼ事実の物語である」という解説がなされるが
実は、『明日に向かって撃て』と同じ字幕の用い方だという。興味深いこだわりだ。

80 歳を過ぎたレッドフォードの持ち味を存分に引き出した、最後の最後まで小粋でお洒落な作品。
見逃したら、もう彼とスクリーンで会うことはできなくなる。

2019.5.31 試写/ S

2019 年7 月12 日(金)TOHO シネマズシャンテ、ほか全国公開
名古屋/伏見ミリオン座、ほか

 

アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場/ UNKNOWN SOLDIER

  • 2019.05.31 Friday
  • 09:06

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アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場/ UNKNOWN SOLDIER

 



♯164


ムーミンのふるさとフィンランドは、1939 年からソ連と戦い、翌年に終結したものの
代償として広大な国土を占領されてしまった。
いつだって、取り戻したい思いは消せない。
1941 年、フィンランドはナチス・ドイツと手を組みソ連との戦争を再開した。
戦いは3 年2 か月に及ぶ。

本作には、戦争映画にありがちなヒーロー的扱いの勇士は登場しない。
そもそも、戦争に英雄など存在するはずがなく
ましてや、戦争を肯定するかのように口に出す政治家もだ。

スコープサイズのスクリーンからは,戦場そのものがはみ出してくる。
上映時間132 分のうち100 分は超えるであろう時間が、死ぬか殺すかの第一線で
観ている側は、その戦場に放り込まれた気分になってしまう。

かといって、兵士一人ひとりの感情や家族、友人、人間関係を描き出すことを傍においてはいない。
短い言葉ではあるが、胸の内は的確に伝わってくる。

出兵に際して家族に向かって、必ず「戻る」と約束する農夫。無表情の妻。
一時帰還した彼に「戻らないで」とうつむき加減につぶやく婚約者。
戦況悪化で後退する連隊に「戻って来い」と怒鳴る上官。彼の背後にはソ連軍の戦車が迫る。

戦争をしてしまった歴史は「戻せない」。
いかなる名目であれ、戦争を起こさないのが政治の責任であり、
どう終結するかを講じ、したかを語るのが政治であるかのように、愚かな勘違いはすまい。

1944 年6 月、フィンランド敗戦。
農夫は,約束を守れたのか。戦場に戻った若い兵士は…
ようやくエンディングロールが流れ出す。戦場から解放された気分だ。今日(こんにち)に戻れる。

2019.5.28 試写/ C

2019 年6 月22 日(土)新宿武蔵野館、ほか全国順次ロードショー
名古屋/ 6 月29 日(土)名演小劇場

アマンダと僕/ AMANDA

  • 2019.05.24 Friday
  • 08:42

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アマンダと僕/ AMANDA

 



♯163


きょう一日、変わりなく。あすも普段通りに過ぎていく、はずである。
が、思わぬ出来事は突然起こる。

アマンダ(7 歳)は、英語教師をしている毋とパリで日常を送る。
そんなある日の昼下がり、手にした本に書いてある一文の意味を毋に尋ねる。
「“エルヴィスは建物を出た” って、どういうこと?」
「プレスリーのファンがね、コンサートが終わっても帰らないから、係の人がそう言ったの。
もう合えない、おしまいということね」毋はそう応え、プレスリーの曲をかけてアマンダの手を取り踊り出す。
毋娘のあり様を表わすどのシーンも、観ていて心良い。

毋には弟がいる。アマンダの叔父さん、タイトルの“僕” ダヴィッド(24 歳)は、アパートの管理や雑用を
手伝いながら姉と姪っ子の加勢をいとわない気のいい青年だ。
そんな弟に姉は、ウィンブルドンで開かれるテニス選手権を観に行こうとチケットも差し出す。

ストーリーは、初夏のパリに暮らす三人を俯瞰するように静かに、
何の味わいも加えず淡々と描き続ける。

実は、姉が弟をウィンブルドンに誘うのには、
彼らの両親との壊れた関係を築き直したい思いがあったようなのだが。

日常は、突然壊された。市内の公園で銃乱射事件、発生。
犠牲者に姉がいた。アマンダは、毋の死をまだ知らない。
うろたえるだけのダヴィッド。遺された、姪をどうしたらいいのか。

初夏の風が吹き抜けるパリの日常は、いつもと何も変わらない。
映画を観ていて、忍びない思いが胸を揺るがすが、映画だから、当事者でないから観ていられる。

アマンダとダヴィッドは、ウィンブルドンで選手権試合を観戦している。
試合は、0-15、0-30、0-40 と一方的。するとアマンダは、こみ上げるように泣き出してしまう。
戸惑うダヴィッドに、「“エルヴィスは建物を出た” のよ」とひと言。彼女の涙が止まらない。

あっ、試合の流れが変わる。……デュース! 二人に笑みが。

2019.5.22 試写/ C

2019 年6 月22 日(土)シネスイッチ銀座、ほか全国順次公開
名古屋/伏見ミリオン座

クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅

  • 2019.05.18 Saturday
  • 10:38

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クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅

 



♯162


たまには、こういう作品に和むのもいい。
ストーリーの展開はさておき、成り行きを楽しめばストレス解消になるかもしれない。
理屈は、ご法度だ。

憧れのパリにやってきたインド青年のアジャ。
カタログだけでしか見たことのないカラフルな家具を求めてデパートへ出かけるも、
その日に泊まる持ち合わせがない。都合良く、目の前にジャストサイズのクローゼットが。
しめたとばかりに潜り込んでしまった、アジャ。

そうそう、子どもの頃、デパートの菓子売り場に泊まれたら、夜こっそりとチョコレートでも
何でも好きなだけ食べられると想像したことを思い出した。
でも、夜は怖いよな……

で、アジャも真夜中とんでもないことに巻き込まれてしまう。
彼が眠るクローゼットが、あろうことかロンドンへ出荷されてしまう。

さあ、奇想天外な旅の始まりだ。

ハプニング、トラブル、思わぬ出合い助け合い、気づき、冒険、などなど旅の要素が次々に繰り広がられる。

ロンドン警察に捕まったアジャは、無理矢理スペインへ移送されてしまう。
スペインの飛行場で隔離されるも抜け出せ、有名女優の衣装ケースに忍び込んだら、そのままローマ着。
が、金銭トラブルで追われる身となり逃げた先に気球が。飛び乗って大海原でへ。
やがてリビアへ向かう船上に不時着。どうしてこんな展開になるのか?
そうそう、旅は成り行き、風まかせ、理屈はご法度だった。

インド映画の特長として、歌い踊るシーンが意味もなく登場することを知っていたが、本作も例に漏れず
ロンドン警察の部長刑事が、ミュージカルふうにステップを踏んで歌ってくれる。
サービス精神あふれる陽気な警察官は歓迎だが、意味わからん。

日常の凝り固まった常識アタマをシャッフルするには、心地よいおとぎ話のような本作。
で、いまこそデパートに泊まれるとしたら、やっぱり菓子売り場だろうか。クローゼットも、いいね。

2019.5.13 試写/ C

2019 年6 月7 日(金)新宿ピカデリー、ほか全国ロードショー
名古屋/ミッドランドスクエアシネマ、ほか

僕たちは希望という名の列車に乗った/The Silent Revolution

  • 2019.04.28 Sunday
  • 17:58

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僕たちは希望という名の列車に乗った/The Silent Revolution

 



♯161


わずか2分間だけの黙とうが、高校生たちによるその行為が、国家への反逆とみなされた時代があった。
1956年、ソ連の強い影響下におかれていた東ドイツでのことである。

本作は、ドイツの戦後史をひとつの出来事で語る実話である。
国家権力の怖さと卑劣の程を知る、現代にも通ずる内容だ。

ベルリンの壁建設5年前の当時は、身分の証明は求められたものの西ベルリンへは行けた。
で、高校生のテオとクルトは、祖父の墓参りを口実に西ベルリンへ列車で出掛け映画を観賞。
その折、自由を求め蜂起したハンガリー市民の状況を伝えるニュース映像を目の当たりにして共感。
学校へ帰り、犠牲となった同士への哀悼の意をもってクラス全員で黙とうすることを提案し実行したのだ。

が、さあ大変。

東ドイツでは、ハンガリー動乱は反革命行為とみなし、高校生たちの行為をも許さなかった。
生徒一人ひとりを呼び出し黙とうの首謀者探しを始めたのである。
挙げ句に、人民教育相まで教室にやって来て、
一週間内に首謀者を言わなければ卒業資格を剥奪すると恫喝。

卒業できなければ、労働者として生きる過酷な道しかない。
友を密告して卒業してしまえばエリートへの階段が待っているのだ。
詰問は、続く。

そういえば、わが住む国でも真実を語るのか、忖度して権力に屈するか選択を迫られ
老いた官僚たちの開き直った醜い態度を幾度となく目の当たりにしたものだ。

本題は、過去の戦争や悲劇的な事実をかかえた東ドイツの歴史や政治的なあり様を綴るものだが、
生徒たちがどちらを選択するのか気をもむ。

2019.4.17試写/C

2019年5月17日(金)Bunkamuraル・シネマ、ほか全国ロードショー
名古屋/名演小劇場
 

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