ミッシング・リンク 〜英国紳士と秘密の相棒

  • 2020.10.19 Monday
  • 09:45

JUGEMテーマ:試写会

 

ミッシング・リンク 〜英国紳士と秘密の相棒

 



♯206


人間は、神がつくり賜うたとものと信じる貴族たちにとって
猿から進化したことを証明しようとするライオネル卿は受け入れられない存在であった。
むしろ邪魔であり、存在までも消しさろうと殺し屋を雇い、つけ狙うのである。
舞台は、ヴィクトリア時代のロンドン。

物語では、類人猿が人間に進化するつながり(= リンク)の“間” に未確認生物がいたという伝説から成る。
しかし、あくまでも幻であり失われた(= ミッシング)生物。
ある日、ライオネル卿の元に、その生物の居場所を教えるという手紙が届く。

本作は、知る人ぞ知る「スタジオ・ライカ」の5 作目である。
世界最高のストップモーション・アニメーションと賞賛されるだけあって、
人形を一コマずつ撮り続けたとは思えない滑らかさで、豊かな表情も、映像の美しさに至っては驚くしかない。
製作のプロが観てもストップモーションの制約を超えた、あり得ないシーンの連続だという。
言われれば確かに、宙に舞う瞬間、バトルの迫力、突撃のスピード感は、技術、挑戦、熱意の結晶といえそうだ。

ライオネル卿に手紙を出したのは、何と幻の生物、当人?からのものだった。
居住地は、アメリカ北西部の森の奥地。2 メートルを超す身長、猿顔で全身毛むくじゃら、
人間の言葉を話すし、理解もできる。ここではひとりぼっちで孤独、仲間に会わせて欲しいと
訪れたライオネル卿に頼む。で、ライオネル卿としては“失われた環” の証明ができると
下心も秘め、生きた化石を“秘密の相棒” にして仲間探しの冒険に出る。
目指すは、ヒマラヤの秘境。

アニメは、子どもを対象にしたものという先入観があったが、本作には当てはまらないようだ。
英国仕込みのユーモア、人間と生きた化石との関係性?そのコンビの冒険旅行は
弥次喜多道中にも似て、昨今の不条理を忘れさす機会になること請け合いだ。
そうそう、考えや意見が異なることで殺され兼ねないライオネル卿。
程度の差こそあれ、排除されたり、任命されなかったりする危うさ。
そうした悪事を企む張本人の結末を見届けることもできる。

2020.10.16 試写/ G

2020 年11 月13 日(金) 全国公開

靴ひも/ LACES(イスラエル)

  • 2020.10.12 Monday
  • 17:21

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靴ひも/ LACES(イスラエル)

 



♯205


… わたしは完璧ではない… 時間をください、もっと近づく時間を…
エンディングに流れる曲の歌詞である。
主人公ガディの気持ちが歌われているようで、最後の最後で「そういうことだったのか」と
大切なことに気づかされた思いがした。

ガディは、38 歳。発達障害の身である。毋と暮らしていたが彼女の突然の死で
数十年前に家を出て行った父ルーベンのアパートに身を寄せることになる。
毋がしてくれていたことを、そのままを求めるガディに、ルーベンの困惑は深まるばかりだ。
そうはいっても時間が経つにつれ、互いの気持ちは通い合い情も沸く。
そんな矢先、ルーベンに腎不全が、それも末期であることがわかる。人工透析が必要という。
ガディのこともあり、ルーベンは特別給付金を申請。当局は、支援に値するか面接。
支援の必要性を理解したガディは、そのことをアピールするため“靴ひも” を結べないふりをする。

発達障害には、さまざまな症状があり、重複して存在することもあるという。
まさに、ガディもその傾向で、症状による振る舞いに、正直、ポジティブな印象は抱けないままでいた。
監督には、“映画を通して人々の障害に対する意識を変えたい” という思いがあったようだが。

ルーベンの症状はいよいよ悪化。腎臓移植しか助かる道はない。と、ガディが提供すると申し出る。

断る父。
自分に欠陥があるからだど思い込み、塞ぎ、薬を飲まず、発作を起こしてしまう息子。
息子の思いを知った父は、素直に気持ちを受け入れる。だが、法的な壁が残っていた。

特別な支援を受けているガディには、手術に伴うリスクを理解していないとみなされドナーにはなれないというのだ。
ガディの意志は変わらない。ならばと、面接で“靴ひも” を結べるか再度試すことに。
ああっ、手が震えて結べない。

ガディが“靴ひも” を結べるか、結ばないかというのは、彼のまっすぐで純粋なこころを象徴する動作であり
監督の意図するメッセージでもあったわけで
ラストにもう一度、“靴ひも” を結ぶシーンが用意されていた。結べるのか…

ゆっくりではあるが、ことを見極めて生きているガディをみて
「そういうことだったのか」と、改めて作品の主旨が胃の腑に落ちた。

2020.10.8 試写/ C

2020 年10 月 シアター・イメージフォーラム、ほか全国順次ロードショー
名古屋/ 10 月31 日(土)名演小劇場

瞽女 GOZE

  • 2020.10.05 Monday
  • 13:20

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瞽女 GOZE

 



♯204


ひとりの娘は、生後3 か月にして失明してしまう。
1900 年(明治35 年)生まれの小林ハルである。
父親は、この娘の生涯はわたしが見守ると約束したものの、2 年後に世を去ってしまった。
途方に暮れる毋トメは、ハルを抱きかかえて占い師の下へ。
「6 歳になったら瞽女(ごぜ)にするとよい」とのご託宣だとトメに告げる。

瞽女は、目の不自由な女性芸人で、三味線をつま弾き語り物を唄いながら僻地山村を巡り
村人たちを癒し喜ばせたという。
村人たちにしてみれば、数少ない娯楽のひとつで彼女たちが来るのを待ち望み、畏敬の念をもって迎えた。

ハルを瞽女にするということは、トメの手を離れることを意味し、もう面倒を見てやれない。
どんなに苦難な道でも、ひとりで生きていけるよう、鬼になってしつけることを決意する。
確かに鬼だ。健気なハルだがくじけない。細い針穴に糸を通すこともできるようになる。
足腰を鍛えるために、カゴに重りを入れて担がせ、階段を上がらせる。重りが増える。

各地の村へは、3〜4 人が一組になり、先頭に視力が残っている手引き役、親方、弟子の順に
前の人の荷物に片手を掛け、もう片手に持つ杖で足下を確かめながら移動する。
荷は重い、峠越えは石ころで、滑りやすく、激流に掛かった丸木橋をも渡る。
トメはそのことを知っての鬼であり、自らもつらい。

7 歳になり、ハルはいよいよ瞽女の弟子入りとなる。厳しい親方だ、いじめとも思える行為も耐えない。
観ていて決して共感できるわけではないが、弱音を吐かないハルに胸があつくなる。

小林ハルさんは、実在の方で、83 歳(昭和48 年)まで瞽女を続け
5 年後には、無形文化財保持者いわあゆる人間国宝に指定され、翌年「黄綬褒賞」を受賞。
105 歳の天寿をまっとうした。

本作は、その彼女が、鬼と思い込んでいた毋の慈しみを知るまでを描いたものである。
ハルには辛い状況が続くも、村人の優しさに応え前向きに生きる姿は、いささか心に響く。

運命を恨まず、人の幸せを妬まず、人を差別せずを信条に
人生の不幸のすべてを素直に受け入れた“瞽女ハル” の生き様。
まっとうに生きるうえでの教訓を得たようで、改めて自身に問う機会となった。

2020.10.2 試写/ C

2020 年10 月24 日(土) 名古屋/名演小劇場

スパイの妻

  • 2020.09.24 Thursday
  • 17:28

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スパイの妻

 



♯203


そもそも、夫(優作)はスパイなのだろうか。

1940 年、妻(聡子)の背後に置かれたラジオが、日独伊三国が同盟を締結したと報道。
前年は、第二次世界大戦が勃発し、満州ではノモンハン事件が起きている。

貿易会社を営む優作は、物資が安い満州へ出掛けると妻に言う。聡子にすれば唐突すぎる。

当時、軍部の大陸進出の先鋒となっていた関東軍は、満州において細菌兵器を開発し
人体実験を行っていた。
優作は、偶然に事を知り、その証拠となる資料を手に入れフィルムに記録し持ち帰る。

帰国した優作の周りを憲兵がうろつく。満州から連れ帰った女が殺されたことも不可解だ。
聡子にしても、優作の行動は腑に落ちない。むしろ疑念がわくばかりである。
問いつめるも「わたしは、やましくない。信じられないのか」と一点張りの優作。
「信じろ」と言われても納得できない聡子。

優作は、関東軍の悪行を証拠とともに国際政治の場で発表する事を決意していたのだ。
そうする事が、優作の正義であり、聡子も理解してくれるはずであった。

優作の正義は、スパイ行為なのか。
太平洋戦争への導火線となった関東軍の暴走を止め、戦争への流れを避けられたかもしれないのに。

優作は、証拠とともにアメリカへの亡命を口にする。聡子も同意する。

どうも優作は正義のためにと、妻を陥れられてしまいそうで、気をもむ。
果して、聡子はスパイの妻であったのだろうか、
観終えて、ストーリーを超えた“何か” が胸で騒ぐ。

同じ方を向くことを強いられ、誰も疑問を抱かなかった太平洋戦争間近の時勢が
実態を見極めることなく空気感だけで政府を支持してしまう、つまり、同じ方を向いてしまう状況が今日と重なる。
本作がメッセージしている“何か” は、この“危うさ” か。
「第77 回ヴェネチア国際映画祭」審査員の胸にも“何か” が響いたのであろう。
黒沢清監督に監督賞の授与を決めた。

2020.9.18 試写/ S

2020 年10 月16 日(金)新宿ピカデリー、ほか全国ロードショー
名古屋/ミッドランドスクエアシネマ

博士と狂人/ The PROFESSOR and THE MADMAN

  • 2020.09.20 Sunday
  • 10:28

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博士と狂人/ The PROFESSOR and THE MADMAN

 


♯202

イギリスには、第一版の刊行(1928 年)まで70 年もの歳月を費やした世界最高峰の辞典がある。
本作は、辞典の編さんを背景に、博士と狂人、加害者と被害者、夫と妻の
相反する取り合わせが織り成す変容を奥深く描いたノンフィクションである。

博士は、オックスフォード大学から英語辞典編さんの新たな責任者になるよう招かれた。
20 年が過ぎてもなかなか具体化できていない状況打開に彼の型破りの発想が求められたのだ。

狂人は、アメリカ人で元軍医大尉である。
過酷な戦争体験から幻覚を見るほどに心を病み、人違いで市民を射殺してしまう。
あまりにも突然に夫を殺された妻は、とうぜんこの男は許せない。
裁判にかけられるも、精神の病ということで無罪。刑事犯精神病院に拘禁される。

博士と狂人の接点は、未だない。

博士は、古語、新語、廃語、俗語、外来語、生粋の英語…これらの意味と変遷の収録に取り組むも困難を極める。
編さんは遅々と進まない。そこで、広く“英語を話す人々” に力を借りることにする。
依頼の意図を「声明文」としてあらゆる書籍や雑誌に挟み、配り、
必要な単語の用例をカードに書いて郵送してもらうことにした。

「声明文」の効果はあった。博士の元に、引用文を記した1000 枚ものカードが届いたのだ。
同じ人からのカードだ。編さんの作業に弾みがつく。
その後、必要な単語のリストを送ると、用例を記した束がすぐに送り返されてくる。
送り主が狂人であることを、博士は知らない。

加害者である狂人は、被害者である未亡人の救済を申し出る。が、彼女は受け入れない。
しかし、二人の距離は近づいていく。

どうにか第一巻は完成するも、編さんに罪人が加担していることがプレスにリークされ
博士は窮地に。この件を打開するのが、博士の妻の思いがけない行動だった。

大英帝国が威信をかけた一大事業、『オックスフォード英語大辞典』の編さん秘話。
落ち着いた物言いで、味わい深い大人の物語だ。

2020.9.15 試写/ S

2020 年10 月16 日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ほか全国ロードショー
名古屋/伏見ミリオン座

異端の鳥/原題:The Painted Bird

  • 2020.09.13 Sunday
  • 17:36

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異端の鳥/原題:The Painted Bird

 



♯201


タイトルからしてそうだが、まことに難解な作品である。
止めどなく描き出される醜いシーンに、その意図がつかめない。
だが、本作は「第76 回ヴェネツィア国際映画祭」でユニセフ賞を受賞するなど、多くの映画祭で賞賛されている。

10 歳ほどの少年は、老婆と共に居たが、彼女の突然の死と火事に見舞われ、住む所を失ってしまう。
生きる場所を求め、歩き出す。
さまざまな局面で下心ある大人に、時に優しい大人に助けられるものの、
同時に、どこへ行っても異質なものとして迫害され、
酷い扱いを受け、少年の心は壊れ、遂には口も利けなくなる。

時代は、第二次世界大戦中で、場所は、東欧のどこかという設定だ。
舞台となる国や場所を特定されないよう、台詞は人工言語「スラヴィック・エスペラント語」である。

原作は、自身がホロコーストの生き残りであるポーランドの作家「イェジー・コシンスキ」が
1965 年に発表した代表作『ペインテッド・バード』(初版邦題:異端の鳥)だ。
が、本著はポーランドで発禁となり、後に作家自身は自殺。謎めいた扱いをされているという。

ということは、やはり問題作なのだろう。故に難しいのか?

物語では、少年が鳥売りの男と出会う局面でタイトルの意味が明かされる。
男は、戯れに小鳥の羽にペンキを塗り放した。小鳥は群れに混ざろう舞うが、群れを成す多くの小鳥たちは
一斉に“ペインテッド・バード” に襲いかかり残酷に突っ突く。突かれた小鳥は、無惨な姿で地に果ててしまう。
少年は、突き殺された小鳥であり、群れは戦時下の狂った大人たち、社会だというわけか。

物語はその後も、差別、卑劣、残酷、欲望、嫉妬、二面性、…など容赦なく描き出す。
よく考えると、それらは誰でも内面する“人間の本質” であり、
戦争が原因という言い訳は許さないと言いたげだ。

露骨で衝撃的な描写には、賛否両論あるというが、本作で投げかけられた問題は確かに難解だ。
少年を通して見せつけられた“人間の本質”。
今日に於いても変わっていない本質。その醜さを補うのが理性であり、知性であり、抑制するチカラではないか。
少年の変化は、他人事ではない。

2020.9.11 試写/ C

2020 年10 月9 日(金)TOHO シネマズ シャンテ、ほか全国ロードショー
名古屋/伏見ミリオン座、ほか

 

みをつくし料理帖

  • 2020.08.27 Thursday
  • 10:25

JUGEMテーマ:試写会

 

みをつくし料理帖

 



♯200


「何があってもずっと一緒や」と約束したのに、生き別れてしまった二人の少女。
上方と江戸、それぞれが異なる料理へのこだわり。
それ故に、その料理が引き寄せる、引き裂かれた二人の10 年後。
物語は、心あたたかく細やかに描かれる。

たまたま通りかかった占い師が、野江を見るやいなや、“旭日昇天”、
天下を取る勢いのある、まことに稀な相だと驚く。
対して一緒にいた澪(みを)の相はというと、“雲外蒼天”、
困難に出合いつらく苦しい思いをする人生だ、が、乗り切れば青空が広がると言い切るのだ。
享和2 年(1802 年)、二人は幼なじみ、仲のいい8 歳。大坂での出来事であった。

なのに自然は過酷だ。突然の豪雨、大洪水をもたらし町ばかりか、二人を引き裂いてしまう。
澪は、料理屋の女将に拾われ助かったものの、野江の消息はつかめないまま歳月は流れる。

困難な災害から10 年、澪は、江戸・神田にある蕎麦処で料理人として雇われている。
彼女は、水が変わってもそのことに気づく繊細な味覚をもっていたから天職に就いたわけだ。
で、主(あるじ)に任され、客に料理を振る舞うも、上方流は受け入れてもらえない。
なぜ?と悩む澪。
苦しい思いのなか、懐かしい上方の味を生かしつつも、江戸で評判の料理を生みだす。
それを聞きつけた怪しげな男が「ある方が故郷のよすがに」食べたいと言っている、
是非に、と求めて来た。

本作は、角川春樹監督の最後の作品になるという。
澪と野江の若い二人を取り巻くのは、すべてが思慮深い大人たち。役者も豪華だ。
よって、全体が落ち着いた流れで、観る者を引きつける“角川映画” の真髄に触れた思いだ。

野江に会いたい、澪の強い思い。決して顔を合わせてはならない、野江の身上。
二人には絆を確かめあう仕草があり、その場面がとうとうやって来た。
中指と薬指を親指に会わせ、人差し指と小指を立てて「狐はコンコン、涙はこんこん」とあどけなく振る。
愛らしい様子にも感動を誘う、監督の匠を改めて知る。

2020.8.25 試写/ T

2020 年10 月16 日(金)全国一斉公開

シチリアーノ/英題:THE TRAITOR

  • 2020.07.25 Saturday
  • 18:33

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シチリアーノ/英題:THE TRAITOR

 



♯199


はてさて、裏切ることは悪いことなのか。
マフィアの世界で裏切れば、必ず殺される。家族、親族までつけ狙われ、もれなく殺される。

本作は、裏切り者の人生を問う作品だ。
1980 年代初期に起きた、新旧2 大マフィア組織の闘いを題材にした実話である。
闘いでは、形勢により裏切る者が出てくるものだ。
本闘争では、あろうことか旧組織の大ボス・ブシェッタが裏切った。
シチリア人の“沈黙の掟” も破ってしまった。悪い奴なのか。

ブシェッタは、闘いの仲裁に失敗しリオデジャネイロへ逃亡してしまう。
シチリアに残された家族や仲間たちは、容赦なく狙い撃ちされる。
マフィア映画では見慣れた、襲撃のシーンが繰り広げられる。“悪” の意味が失せてしまう勢いだ。

逃げてもブシェッタは、警察に逮捕され身柄はイタリアへ。
待つのは、マフィアの撲滅に執念を燃やす判事。ブシェッタの、“組織の犯罪の告白” という
裏切りにより、イタリア全土でマフィアが一斉に逮捕され、大裁判への流れに至る。

その後は、法廷でのシーンが続くが、テンポと動き、人の細かな表情などの構成で
ありがちな退屈感は見事に払拭され、マフィア映画の迫力は寸分も損なわれない。

判事の前に、改悛したブシェッタ。
しかし、敵方組織にしてみれば恨み骨髄、生かしちゃおけない存在。
判事は、虐殺されてしまうし、当時の外務大臣は、国民を裏切りマフィアと通じていたというから、
たまったものではない。“善” の意味が失せてしまう。
さらに裏切り者は、まだ複数いる。

で、それらの一人ひとりやラストに続く筋を明かしたいと思うのだが、
これ以上深入りしたら銃口にさらまれるので、ここでペンを置きたい。
締めくくりに小声で密告!
組織の人眼関係は複雑で変化するため、注視しなければストーリーについていけなくなる。
よって、152 分間、気を抜いてはいけない……と。

2020.7.22 試写/ C

2020 年8 月28 日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ほか
名古屋/名演小劇場

ファヒム パリが見た奇跡/ Fahim

  • 2020.07.16 Thursday
  • 10:57

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ファヒム パリが見た奇跡/ Fahim

 



♯198

めっぽうチェスが強いバングラデシュの男の子、ファヒム。
8 歳そこそこで数々の大会で勝つ。
しかし、それは妬まれる元となり、挙句に一家は脅迫される始末。
親族に反政府組織に属する者がいることもあって、父は身の危険さえ感じる。
「この国から出るしかない」。妻と幼い子を残し、父は嫌がるファヒムを連れてパリを目指す。

パリに着いても当てがあるわけでもなく、まずは難民センターに受け入れてもらえた。
父は、仕事を探すが当然うまくいかない。

一方、ファヒムは、チェスの道が開けていく。
フランスでも有数のチェスのコーチとの出会いが、“パリが見た奇跡” へとつながるのだ。

本作は、実話である。
ファヒムを取り巻く一人ひとりが優しく寛大で、
これが単にドラマであれば、あざとく鼻持ちならない展開でしかないが。

さておき、実話は父を苦しめる。
住まいと仕事を見つけて妻子をパリへ呼ぶことを約束して脱出したのに、
難民申請は却下され、強制送還の羽目に陥る。
それを逃れるため、ファヒムの運命を守るためにも、密かに路上生活に耐えるしかない。
遂には、警官に追われ逮捕されてしまう。
ファヒムのチャンピオン大会出場も危ぶまれる。

フランスには、市民が大統領に直接 嘆願できるルートが開かれているようで、
その大統領の融通が、思いがけない感動となりラストを盛り上げる。これもパリの奇跡だ。

フランス人の人権意識の高さに妬みを感じなくもない。
観終えての感想だ。

2020.7.13 試写/ C

2020 年8 月14 日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ほか
名古屋/伏見ミリオン座

 

大海原のソングライン/ Small Island Big Song

  • 2020.07.11 Saturday
  • 18:08

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大海原のソングライン/ Small Island Big Song

 



♯197


カヌーに帆をかけて大海原に漕ぎ出すシーンから始まる。
5000 年前のこと、台湾を源とする先住民の祖先たちの姿である。
彼らは、フィリピン、マレー半島を南下し、西にインド洋を越えてマダガスカルへ。
東へは、太平洋に浮かぶイースター島まで辿り着いたという。
祖先たちの航海では、同時に言語、音楽、躍りなども拡散される訳で、今日、その状況は?と
本作の製作プロジェクトは、
広く大海原に点在する島々に歌い継がれ伝わった音楽の道(ソングライン)を見出し
16 ヵ国の島々に残る音楽を集めドキュメンタリーにまとめ上げた。
“ソングライン” とは、オーストラリア先住民に受け継がれる思想・信仰に基づくものだ。

乾いて心地よい島々の音楽が、途切れることなく繰り出す。
演奏するのは、ご当地のプロたち。曲に合わせて子どもたちが踊る。健やか感あふれる。
その地に生きる人たちの様子も映り込む。穏やかそのものだ。
ただ自然環境破壊の影響は、島々にも忍び寄る。このことを見過ごしてはいけない。

「欲」というパンドラの箱を開いてしまったが故に、大自然は温暖化をもたらし
多様なウイルスをばらまき、容赦なく襲いかかる昨今。
大自然に抗うことなく、共に奏で歌い、躍り、生きてきた島々の人たちを見ていて、
羨ましさを感じてしまう。
人間も自然の一部なんだから、奢ってはならないことを再認識させられる。

叩けば何でもリズムを刻む(と言ったら失礼か)見たことのない打楽器、
なるほどと感心させられる弦楽器。演奏に参加したくなる。
いますぐにでも、子どもたちの輪に割り込みたくなる。ストレスなど失せてしまうだろう。

本作は、島々の伝承のあり様を描き出すだけでは終わらない。
ラストですべてを、ひとつのスクリーンに集結させ、ビッグにコラボレーション。
源が同じだけに、数千年の歳月を過ぎても通じるところがあるようで、違和感なくまとまる。
なるほど、おもしろい実験だ。
うん、自然にさいなまれているいまこそ観たい作品だ。

2020.7.10 試写/ C

2020 年8 月1 日(土)名古屋/名演小劇場

 

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